Flexの位置づけとAdobeが果たす役割
- Adobe Flexは大規模なエンタープライズアプリケーション開発に適したアプリケーションフレームワークであったし、それは今後も変わらない。HTMLの進化は早いが、今後数年間はまだFlexが最適なソリューションである可能性がある。
- Adobe Flex SDKはApache Flexプロジェクトに寄贈し、Apache Flex SDKになる。
- Apache FlexプロジェクトはFlex SDKのメンテナンスとエンハンスをおこなう。一方Adobeは、開発ツールとFlashランタイム (Flash PlayerとAIR) をサポートしていく。
- AdobeはApachにFlex SDKと関連技術を寄贈するとともに、フルタイムのFlex SDKエンジニアチームも提供する。Flexに従事するAdobeのエンジニアの人数は減るが、開発コミュニティと協力することでFlexに関わるアクティブなエンジニアの総数は増える。
Apacheに寄贈されるもの
- Flex SDK
これにはコアSDK、オートメーションライブラリ、AIR SDKのバイナリファイル、ドキュメント、仕様書、まだリリースしてないSparkコンポーネント群が含まれる。 - Falcon Compiler
現在開発中の次世代ActionScriptコンパイラ。 - Falcon JS Compiler
JavaScriptを出力ターゲットとした実験的なASコンパイラ。 - Mustella
AdobeがFlex SDKのテストのために開発・利用していたテスティングフレームワーク。 - BlazeDS
後に出てくるようにLCDSは寄贈されない。 - Flex SDKのエンジニアチーム
重大なバグとセキュリティ問題については過去のFlex SDKに対しても対応する。
今後もAdobeが自社開発を継続するもの
- デスクトップブラウザ向けFlash Player
デスクトップ向けFlash Playerは開発継続、モバイルブラウザ向けは開発停止。 - Adobe AIR
デスクトップとモバイルの両方でAIRをサポートする。 - Flash Builder
Apache Flexを利用したアプリケーション開発をサポートする。Apacheに寄贈したFalconコンパイラもいずれ取り込むかもしれない。一方、Apache Flex SDKのサポートを強化するため, デザインビュー, データ中心開発ツール、Flash Catalystワークフローは今後リリースするバージョン4.xでなくなる予定。 - Flash Professional
- AIR for Linux SDK
- LCDS (LiveCycle Data Service)
- LCCS (LiveCycle Collaboration Service)
Apacheに寄贈するかどうか現在検討中のもの
- TLF (Text Layout Framework)
- BlazeDS.NET
- Gravity
- FXG (Flash XML Graphics)
- Squiggles
- OSMF (Open Source Media Framework)
開発停止するもの
- Flash Catalyst(Adobe CSにも同梱されなくなる)
Flashランタイム(Flash Player/AIR)の今後について
- Flash Player 11.2とAIR 3.2を2012年第1四半期にリリースする。これらはいずれもSDK 4.6でビルドしたアプリケーションに対してテストをおこなう。今後リリースするFlash PlayerとAIRもFlex SDK 4.6で動作するようにテストをおこない、5年間は後方互換性を維持する。
- Flex SDK 4.6以前のバージョンについては、今後リリースするFlash Player / AIRでも動作することをAdobeが保証するが、これからリリースされるApache Flex SDKについてはApache Flex Projectが互換性と動作保証について責任を持つ。
- これまではFlexアプリケーションのニーズに応えるためにFlash PlayerとAIRに機能を追加してきたが、今後はAdobeのFlashプラットフォームのビジョンを実現するために機能強化していく。Apache Flexプロジェクトが新機能を利用することもあるだろうが、Apacheプロジェクトのためだけにランタイムに新機能を追加することはない。
以上。